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ヒト iPS グリア細胞の共培養によるヒト iPS 神経細胞の活動への影響 

 人工多能性幹細胞 (induced Pluripotent stem cell, iPS cell) は、様々な体性細胞に分化できます。それは神経細胞も例外ではありません。ヒト iPS 細胞を分化誘導し作製した神経細胞 (ヒト iPS 神経細胞) は、マウスを使った動物実験と違い、"種差" が無い、という利点があるため、向精神薬の効果の検証 (ドラッグスクリーニング) のための新たなツールとして期待されています。しかし、ヒト iPS 神経細胞だけでは、生体脳を模倣するのは難しいです。なぜなら、ヒトの生体脳には、神経細胞だけでなく、グリア細胞 (神経細胞への栄養の提供、神経活動に必要なイオンの回収を行う細胞) が存在するためです。そのため、神経細胞とグリア細胞を一緒に培養することで、より生体脳に近い条件を再現できると考えられます。しかし、神経細胞とグリア細胞を一緒に培養することで、電気的活動 (神経活動の本質) が、どのように変化するのかは、明らかではありませんでした。そこで私たちは、ヒト iPS神経細胞と、ヒト iPS 細胞由来のグリア細胞 (ヒト iPS グリア細胞) を一緒に培養し、ヒトiPS神経細胞のみを培養した群と比較して、その電気的活動がどのように変化するのかを検証しました。結果として、ヒト iPS グリア神経細胞を一緒に培養した群において、複数の神経細胞が、同時に、かつ一定のリズムで活動しやすいことが明らかになりました。こうした "同期活動" は、生体脳 (特に大脳皮質) でよく見られる活動です。本研究により、ヒト iPS グリア細胞を一緒に培養することで、ヒト iPS 神経細胞が、より生体脳に近い活動を示すことを明らかにしました (学術論文4: Kayama et al., BBRC, 2018)。大脳皮質の "同期活動" は、記憶の固定化に重要であることが示されており、将来的に、こうした "同期活動" を指標とした新薬開発への応用が期待されます。 

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©2021 by 鹿山 将。Wix.com で作成されました。

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