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末梢免疫系に影響を与える脳報酬系の神経活動 

​ 「病は気から」と言うように、私たちの快・不快の情動は、ウイルスなどへの感染のしやすさや癌発症のリスク上昇など、生体防御反応にも重要な影響を与えることが、経験的にわかっています。しかし、このような脳と末梢免疫反応を繋ぐような生体メカニズムを明らかにするための基礎研究は、あまり行われてきませんでした。
 私たちは、情動反応や報酬を体験した際に活動する脳領域として、脳報酬系として知られる腹側被蓋野に着目しました。この腹側被蓋野には、特に報酬に強く反応するドパミン神経細胞があります。本研究では、マウスを用いて、このドパミン神経細胞を光で活性化できる技術(光遺伝学的手法)を適用し、これらの神経細胞のみを高頻度に刺激しました。その結果、免疫調節因子であるサイトカイン
 (IL-2, IL-4, TNF-α) の血清中濃度が増加することがわかりました。

 

 

 さらに同様の効果は、オスマウスがメスマウスに遭遇するような自然界と同じ条件でも、観察されました。
以上の結果は、脳の報酬系が、身体の免疫系を制御することを直接証明するものであり、様々な生体防御反応を理解するための重要な布石となります。

 

 

 

 

 

 

論文 :  (学術論文6: Kayama et al., Scientific Reports, 2022)
プレスリリース : 脳報酬系の神経活動による末梢免疫系への影響 | 東京大学 (u-tokyo.ac.jp)















 

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